大井町フォトスタジオ通信

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初めてのロードトリップ White sands編

毎年バカンスの季節になると、過去に訪れたロケ地の風景を思い出します。
Ansel Adamsの風景写真の世界感に憧れ、藤原新也のアメリカを読んでから、ニューヨーク以外のアメリカの自然風景にも惹かれるようになりました。地球の歩き方シリーズの中で、アメリカに関する巻は主要都市のほかに アメリカの国立公園やアメリカの小さな町という巻があり、その中に記されていた小さな風景写真でさえも魅力的に思えたものでした。グランドキャニオン周辺の国立公園の紹介ページが多かったのですが、渓谷や森林の紹介の中に、ホワイトサンズという一面白い砂の砂漠エリアが紹介されており、そこに強く惹かれていました。ある日旅行会社の店先で、タイミング良くロサンゼルスまでの格安往復航空券を見つけてしまい、即購入してしまいました。レンタカーで国立公園を回る旅を計画したのです。
当時は、ラージフォーマットののWISTA4X5のカメラで撮っていたので、空港の検問でもフィルムの検査の通過が大変でした。X-Rayフィルムセーフティーバッグという物があり、箱ごと沢山詰め込んで、重い手荷物になってしまいました。ポラロイドのネガフィルムも持って行ったのでなおさらです。
Gitzoの三脚とカメラバックと日焼け止めの必要最小限の荷物を詰め込み、現地のスーパーマーケットでクールボックスと水を調達して、行き当たりばったりの旅が始まりました。一日7〜8時間運転で、カリフォルニア州、アリゾナ州、ニューメキシコ州、ユタ州の国立公園を約2週間かけて回る計画です。ロスから半日程走ると、見えて来る景色は渓谷やオレンジ色の岩石の層ばかりになり、ガソリンスタンドやダイナーの感じも私が見てみたかった寂れた雰囲気に変わって行きました。映画バグダットカフェで見た風景そのままでした。街中にあるようなレストランも見つからず、TacobellやMacなどのファストフードの店ばかり。たまにチャイニーズのファストフードの店を見つけると、ほっとしたのでした。
ロサンゼルスからサンディエゴに向かい、ビーチを見てからデスバレーへ。グランドキャニオンからモニュメントバレーへ。アーチをトレイルしてから目的のホワイトサンズへ。強い日差しに照らされ、制限速度の85マイルを守りながらの運転は想像以上に過酷でした。驚いたのは、カンカン照りの中バイクで、しかも2人乗りで運転している強者も多く、大自然と道路脇の大型看板とファーストフードのネオンの対比が鮮やかで、ニューヨークなどの都市にはない素朴なアメリカが感じられました。数日後、ホワイトサンズを訪れた時は日没前でした。どんな風に見えてくるのかずっとワクワクしていました。白一面の砂漠が急に見えて来ると想像していましたが、徐々に道脇がまばらな白い砂で埋め尽くされて行く感じでした。その風景に慣れ、気が付いたら一面真っ白の砂漠が広がっていたと記憶しています。暫く音のない静寂な世界を楽しみました。
日没のピンクの空と同じピンクにな染まった砂漠が美しくて、翌朝日の出も見に訪れました。沢山の風景を撮りましたが、いつか再び訪れて、この一面白の風景に人物を入れて撮影したい!と強く思いながら、ホワイトサンズを後にしました。

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